纏を考える 考察編2

纏と両さん

最終的に纏はこち亀女性キャラの中で最も両さんの
嫁に近いポジで終わったと思っています。

まず最終単行本200巻の表紙。
出た時から「なんで寿司屋がいんだよ!」
と一部で混乱が起きました。確かに。
纏は好きですが、これには私も少々驚きました。
 このところ擬宝珠家や超神田寿司の登場自体が
減少傾向にあり、両さんも超神田寿司の住み込みから
警察の寮へ戻った様子だった事もあり余計にそう感じました。

しかし表紙には両さん、中川、麗子と共に
纏、檸檬、蜜柑の姉妹があるではありませんか。

本田や丸井、マリアといったメイン級のキャラどころか
部長さえいないのに…教授これは一体!?
※表紙の絵は一枚絵で、両さんたちの右側には
部長や署長、マリアや早矢、本田、春たちもいます。

部長やマリアはいないのに
なんで堂々と表紙にいるのこの人たち…?

理由は多分…
両さんの家族だから……
と考えるしかありません。

こち亀200巻

ストーリーがあるわけではないこち亀なので、最終巻もノリは
何も変わらずに展開されます。
 最終話にあたるのは「40周年だよ全員集合の巻」
この回自体は最終回ではなく連載40周年を記念するというメタ的な
内容になっているため、実質的な日常を書いた最終話はその前回と
言えます。なお、最終回の三話手前では中川の両親と麗子の母が
一堂に会します。

続く最終回の二話手前はスタンダードな派出所回。
部長に頼み事をされ、最終的に部長が「両津はどこだ!」
定番オチ。このパターンが最終回と予想していた方も
多かったようですね。

 そして、実質的な最終話は派出所も出ては来ますが
中心は擬宝珠家。夏春都の時計の話でした。

200巻の紹介でも取り上げましたが、この回で
注目すべきは夏春都が大切な喜一郎さんの時計を
なぜ両さんに譲ったかと言う点。
結果的に両さんが修理してくれましたが、夏春都は
もう直せないし、動かないと思っていたので
両さんが直してくれるとは思っていなかったはずです。

喜一郎さんゆかりの品である軍票は檸檬が大切に
保管していましたが、知らなかったとは言え
それを売り払おうとしていた両さんに大事な
時計を譲ってしまった、しかも両さんは
当初部品取りに使うと言っていました。

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複雑そうな夏春都の横顔。

 思うに夏春都は大切な時計を両さんになら
預けていいと思うようにまでなっていたのでしょう。
前後のつながりや、漫画での登場とは関係なく
この話を見る限り、両さんは警官なのを忘れる程
ずっと寿司屋にいた
と語られます。

孫である檸檬に軍票を預けたのと同じで
夏春都も両さんを家族として受け入れている
と言う事なのでしょう。

普段の警官の両さんがダーティ両さんなら
寿司職人の両さんは奇麗な両さんと言えるかもしれません。
そして奇麗な両さんは古くからのファンからは違和感を感じ
人気がないと…

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ラスベガスで儲けて旅行代が浮いた、と語っている事から
纏に借りた渡航費を返すようです。お土産も買って来て
纏が驚いているのが印象的。

奇麗な両さんは、家族思いで金払いが良い、物知りで
思いやりのある人物です。でもそれじゃ両さんじゃない…
でも最後にそんな両さんが出て来るのは…やっぱり
こち亀が終わるんだな…と感じずにいられません。

こんなのこち亀じゃない! こんなの両さんじゃない!
といくら言っても、これもこち亀だし両さんなんです。

 夏春都から初めて礼を言われたと両さん。
ここで終わっても夏春都との良い話、でめでたしめでたし
だったと思いますが、最後は纏たちと終わるのに注目です。
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ヒマワリは枯れましたが種から来年新しいヒマワリに
会える、と檸檬に言う両さん。
翌週は最終回、その前回にあたるこの回のラストで
未来に思いを馳せる話を纏たちとしているのです。

もしかしたら寿司職人として擬宝珠家と生きていく
そんな未来があるのかもしれないですよ。

似ているタイプか逆のタイプか

実際問題両さんに合うのは、両さんに近いタイプか
真逆のタイプか…何とも言いようがありませんが
作中に登場した女性キャラは、美形でスタイルも
良い上、資産家だったりします。また知性や運動にも
長けたスーパーウーマンだったりするなど、両さんとは
正反対と言えるかもしれません。

一方の纏は、両さんのライバルとして
生まれたため出身から性格・好みまで両さんに
近いタイプです。

出来る事と出来ない事、知識の範囲がチグハグな
両さん。高尚な趣味や特技は疎いと思われがちですが、
三味線が弾けると言う意外な共通点も。
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 近すぎるのもそれはそれで上手くいかないという事も
もちろんあるでしょう。しかし、お金好きや強い物欲、
収集癖は纏にはありませんし、字が上手かったり、将棋が
強かったりと全く違う所もあります。
何より纏はメールも出来ない携帯を持っているなど、
デジタルギアに関する知識は皆無。料理も和食以外は
苦手だったりします。

他に不思議な共通点。両さんと言えば婦警含め女性に
モテないと言うのは周知の事実ですが
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なぜ檸檬まで知ってる…

両さんと何度か結婚騒動が起きている纏。資産目当てと
血縁関係の発覚で沈静化し、両さんのモテるモテないなんて
どうでもよくなっているのかと思ってましたが、自宅で
両さんがモテないなんて話を檸檬にしていたとは意外です。

もっと意外なのが、195巻
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えっ!?纏って男に全くモテないの!?
美人だし粋でいなせなのになぜ!?
近寄りがたいほどの美人というジャンルの人でも
なさそうですし…

「わしがもらってやらんと嫁の行きてが無いぞ」
ルートに入りそう…

よくよく考えてみると、と言うか考えなくても麗子は
モテます。デートしていたり白鳥麗次に言い寄られたりも
していました。
マリアは岩鉄コーチから女性なら告白していたと
言われたし、女性と勘違いして白鳥やボルボ、実父の
ホンダラオヤジにまで声をかけられてました。
早矢は言うまでもなく部長がメロメロ。

彼女らと比べると纏はそういう話が無い…
(春も無いですけど)。

もしかして、両さんと一緒にい過ぎて周囲から
両さんの物みたいに思われてるんじゃないでしょうか…
両さん自分の物、勝手に使われたりしたら激高するじゃ
ないですか。その感じかも。

纏も纏で署内で人が大勢いても割とおかまい無しに
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聞く人が聞くとなんか勘違いしそうな事を言ったりします。
周りからすれば、あの二人付き合ってんの? 同棲してんの?
ってなりますわな。
そもそも下の名前呼び捨てって冷静に考えると色々変です。
そりゃ夏春都や檸檬もそう読んでいますし、親類なので
「両津」と呼ぶのも変と言えば変ですが。

深読み注目ポイント

こち亀は前例のない40年も連載が続いたギャグマンガのため、
キャラや設定が変わる事があります。アメコミだってリブート
しつつ続いているんです。一つの漫画で40年設定を統一しろというのは
無理難題というものでしょう。 
なのであまり古い設定は考察に向かないという事が起こりえます。

それでも注目したい点を見てみましょう。
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(94巻)
纏登場以前にもベーゴマのチンコ巻き、マン○巻きの
話題が出た事がありました。女の子は近づけない
世界かと思われましたが
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(184巻)
まさか署内でその事で言い争いする女性キャラが出現するとは…

 なぜか過去に同じ純という名前の友人がいる両さんと纏。
もちろん両者は他人ですが、纏にとって純君は中学時代の
大切な男の子でした。
 劇中ではいつでも勝ち気で両さんと同じような性格の
纏が涙したのが126巻。中学時代、いじめられている純君を
助けて来た纏。

纏が心残りだったのは純君にひどい事を言ったまま
別れが来てしまったこと。
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纏だって女の子。純君には強くなって欲しかったのです。
子どもの頃から腕っ節も強かった纏も、自分を守ってくれるくらい
強い子には憧れていた様子。
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逆に両さんは勝手に体が動くタイプ。普段の関係などどこ吹く風
女に手を出す輩には反射的に動いてしまいます。

超神田寿司に入る原因になった謹慎も、元を正せば纏に
手を出した男に両さんが怒りの一撃を加えた事からでした。
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まあ、一撃と言うかボコボコにするんですけど…

亡き擬宝珠喜一郎にどこか似ているという両さん。寿司職人になった事で
それはさらに増していきます。
一方で夏春都に似ているのは檸檬? と思いきや夏春都に似ていたのは
纏であると夏春都は語ります。

 そんな纏ですが両さんが超神田寿司の新アイデアを出した際には
必ず慎重論を唱えます。
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何度か見て来たように、夏春都は逆に両さんの新しいアイデアに
Goサインを出す局面が多いです。

纏は警官としても両さんと接しているため、両さんの問題点も
見えている…という事もあるでしょうが、百戦錬磨の夏春都の
ことですから、夏春都だってその辺は承知しているでしょう。

 これは単に纏と夏春都の年季の違いではないでしょうか。
なんだかんだ言っても纏はまだ20歳。対して夏春都は100歳
(劇中ではわかっている限りで105歳まで加齢)。両さんより
60以上も年上で両津家の血も流れる夏春都に両さんが
太刀打ちできないのもうなづけます。

 擬宝珠家を取り仕切る夏春都。彼女の決定は絶対で
逆らえない…と言うのは半分合ってますが半分は
間違っています。

息子夜婁紫喰の結婚を勝手に決めたとありますが
夜婁紫喰さんはかなり温厚でおとなしい人のようですし
しっかりした夏春都なので、自分は安心して職人業に
邁進し結婚もあまり意識しなかった所、桔梗さんと
結婚するよう夏春都にいわれた、と言った感じでは
ないでしょうか。
 そうして結婚した夜婁紫喰さんと桔梗さんですが
夫婦仲はかなり良いようで、憂鬱から蜜柑まで
四人の子どもに恵まれています。
つまり夏春都の選択は間違っていなかったと。

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モブ臭漂う顔になっている事もありますが、よく見ると
両津家特有の濃い眉毛が見られる夜婁紫喰さん。
両さんに檸檬たちの父性が与えられているため、
存在が希薄…

 一方で纏が憂鬱によって男の子の様に育ってしまっても、
大学進学を蹴って警官になると決断しても夏春都は
その意思を尊重します。
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 思えば両津家の血を警戒していても、纏が自らの意思で
両さんと結婚すると決めた際には纏を止めませんでした。

実際には夏春都は独裁的でも強権的でもないのです。

 自由に育った結果、纏は両さんと似通った雰囲気を持つ女性に
なりました。
ただ、伝統や歴史を重視し、両さんのような自由な発想や新技術の
取り込みには二の足を踏みます。

しかし両さんの発想、纏の伝統を大切にする姿勢が
車の両輪のように揃ったら…夏春都の考えるのは
そこなのではないでしょうか。
そしてそれよりも大切な物こそが「家族」である…
と二人に説いた事も印象的です。

 それらをふまえて、纏はもう少し両さんを信頼し、両さんの
発想に対して柔軟になる必要がある…
夏春都は纏にそれを知って欲しくて両さんの姿勢を容認し
任せる度量を示し続けているのでは、と私は考えます。
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最終巻の「寿司講座の巻」を改めて読み返した所
ある事に気付きました。先に200巻の紹介を書いた際には
気付きませんでした。むしろこの話は寿司屋の話なのに
纏絡みの話が無いな〜と思ったのですが…

寿司の歴史や変化・進化する事を説明する両さん。
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かつては赤身の漬けを使っていた、トロを食べるように
なったのは最近。夏春都から聞いたことをしっかりと
吸収しています。
 両さんのいう通り、実は寿司というのは元々高級な食べ物では
ありませんでした。庶民食から生まれネタや食べ方が現在も
進化し続けている食品だったりします。

と、このまま行くと纏が古い考えや伝統に凝り固まった人という事に
なりそうですが、最後にどデカイのが控えているのです。
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纏をいじってオチ…私も当初その程度にしか考えていませんでした。

が、
教師、卵焼きの味が最高だった、その卵焼きを焼いているのが
店の女性
…何か思いだしませんか?

そう!
160巻「移動超神田寿司出前500kmの巻」

廃校になる大阪の小学校の校長先生に超神田の
寿司を届ける話。校長先生思い出の「東京の味」は
当時は夏春都が焼いていた卵焼きの味でした。
意図していたならすごい演出ですし
意図していないならすごい偶然ではないでしょうか。


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